おちゃまるの頭の中

上智大学に通う現役大学生おちゃまるが、「いつもの学びをちょっと楽しく」を目指してためになるようなならないようなくだらないことをつらつら書くブログです。

かぐや姫伝説発祥の地ありすぎ問題に決着をつけよう

こんにちは。静岡県産のおちゃです。

 

かぐや姫といえば、「竹取物語」を中学や高校の古文の時間に学習したという経験のある方も多いのではないでしょうか。

光る竹の中から女の子が生まれて…

とても有名なお話です。

しかしある日私は思いました。

 

かぐや姫伝説発祥の地ってそこらじゅうにない!?

 

というわけで、本日は発祥の地バトルを開催し、私の独断と偏見で「真のかぐや姫伝説発祥の地」を決定していきたいと思います!

 

 

竹取物語のあらすじ

すでにご存知の方も多いとは思いますが、本題に入る前に簡単にあらすじを紹介しておきたいと思います。

物語は竹取の翁が竹林の中で光る竹を発見するところから始まります。

翁が光る竹を切ってみると、そこにはなんとも麗しい小さい女の子が。その女の子はすくすく育ち、大変美しい娘になります。

そんなかぐや姫に求婚したのが5人の貴族。しかし結婚をしたくないかぐや姫は、様々な無理難題を申し付けて縁談を断ります。最終的には、かぐや姫が自分は月の民でもう月に帰らなければならないと言い出し、帝や翁の抵抗も虚しく、月の民とともに月へと帰ってしまいます……。

 

なんか書いてて思ったけどかぐや姫結構わがままだよね。

諦めさせたいならこんな命をかけなきゃなお題出さなくてもよかったと思うし、せめて失敗した時にあからさまに喜ぶのやめてあげて。

 

エントリー選手紹介

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竹取物語の検証を行う前に、現時点で発祥の地を自称している地域を調べてみることにしたのですが…

 

調べたら出るわ出るわ!

 

存じ上げていなかったのですが、いくつかの地域で共同でかぐや姫サミットなるものも開催しているそうです。

 

なんかもっとこう…発祥の地同士で敵視しあっているのかと誤解してました……。

みんなで仲良く協力して盛り上げているみたいです。

 

そんな数多のゆかりの地の中でも、今回その正当性を検証していくのはこちらの7つ!

調べてみると他にもゆかりの地とされる地域があるのですが、私が実際に竹取物語を読んでみて特定できたこれらの地域について検証してみたいと思います。

 

静岡県富士市

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まず検証するのは静岡県富士市

こちらはもちろん、物語のエンディングに富士山が登場するからです。

かぐや姫は月に帰る前に、不死の薬を置いていきます。しかしかぐや姫の不在を悲しんだ帝は、かぐや姫がいなければこの薬に価値はないと感じ、天に最も近い駿河にある山でその薬を焼いてしまいます。

「不死」の薬を焼いたことから「フジ」の山、富士山と呼ばれるようになったとのことです。

実際に文中に固有名詞が登場していることもあり、富士市はゆかりの地であるといって差し支えないでしょう。

 

さて、しかしここで疑問に思った方もいるかと思います。特に山梨県民の方。

 

富士山って山梨じゃない?

 

富士山は山梨県静岡県にまたがる山ですが、今回は富士市でカウントさせていただきたいと思います。

理由は竹取物語の以下の記述。

駿河の国にあなる山の頂に持てつくべき由、仰給う。

駿河の国」と明記されていることから、ここでは富士市で検証しました。

決して私が静岡出身だからというわけではありませんよ!

 

香川県さぬき市

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続いては香川県です。

竹取物語というと貴族も多く登場するため、京都や奈良周辺のイメージがあるかもしれません。

しかし、物語中で最初に出てくる地名は意外にも香川なのです。

 

物語冒頭の竹取の翁を紹介するシーン。

名をば讃岐の造となむいいける

讃岐とは現在の香川県讃岐市に相当します。

この竹取の翁の紹介の記述から、竹取の翁は香川県に住んでいた、少なくとも何かしらのゆえんがあったと言えるのではないかと思います。

一方、「讃岐=大和国広瀬郡散吉=現在の奈良県広陵町」とする説もあるそうです。

 

奈良県かしはら市

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どんどんいきます。

竹取物語かぐや姫に求婚した貴族の内の1人が石作の皇子という人物です。

彼はかぐや姫の要望である「仏の御石の鉢」を手に入れるために奔走します。

そこでの記述がこちら。

…三年ばかり、大和国十市の郡にある山寺に、賓頭盧の前なる鉢の、ひた黒に墨つきたるを取りて…

この大和国十市の郡という場所が、現在の奈良県橿原市付近といわれているそうです。

 

大阪市周辺

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同じく難題を突きつけられた車持の皇子が向かったのが大阪市

文中では「難波」として登場します。

 

福岡を中心に九州一帯

 

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5人の貴族の1人、大納言大伴御行は海にこぎ出します。

「筑紫の方の海に漕ぎ出でぬ」との記述があり、この筑紫は現在の福岡を指すものです。

しかし古くは九州全体を指す言葉だったそうなので、福岡を中心に九州全体として紹介しました。

ちなみにこの大納言は結局漂流してしまい、南海の浜に辿り着き、そこで登場するのが次に検証する兵庫県です。

 

兵庫県

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大納言は筑紫(福岡周辺)を目指して出航するも漂流してしまい、南海の海にたどり着きます。

「浜を見れば、播磨の明石の浜なりけり」という記述があることから、播磨=兵庫県南西部の海岸に漂着したと推測しました。

 

佐賀県

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そろそろ面倒になってきましたが、最後です。

5人の貴公子のうち中納言石上麻呂足は、燕の子安貝というものを手に入れろと要求されます。

自身で燕の巣に手を入れてみるのですが、その際落下。

その怪我と、世間の笑い物になるであろうことがショックで寝込んでしまった中納言かぐや姫が送った歌がこちらです。

年を経て 浪立ち寄らぬ 住の江の 待つかいなしと 聞くはまことか

待つ「かい」なしは「貝無し」とかかっており、意味は

何年も子安貝をお持ちいただくのを待っていますが、子安貝を取ることができなかったため待つかいがないと聞きましたのは本当でしょうか?

みたいな感じです。多分。

 

ここに住之江という地名が出てきます。

住之江というのは佐賀県有明海六角川河口付近とのことです。

しかし、「住之江の松」という言い回しが「待つ」にかかる言葉として和歌ではよく使われます。

地名は登場するものの関連性は薄いのではないでしょうか。

 

そもそも「発祥」って?

ここまで文中に登場する7つの地名について検討してきました。

ここで一つの疑問が生まれます。

 

ゆかりのある地名はあるものの、それって「発祥の地」と呼べるの?

 

「発祥=生まれた場所」とすると、今回検討したものは舞台にはなっているものの、発祥の地とは呼べないように思います。

竹取物語は作者不詳の物語で、発祥の地を確定させることは難しいです。

しかし貴族が多く登場することから、当時の都に近い場所で生まれた物語なのではないかと思います。

 

結論

発祥の地はわからん!

でも静岡、奈良、大阪、福岡は登場人物が訪れた地として、香川は竹取の翁と関連のある地として、かぐや姫伝説ゆかりの地・物語の舞台といえる!

 

です。

曖昧な結論に落ち着いてしまったといえなくもないのですが、私としては長年疑問に思っていた問題の検証ができて満足です。

これからもかぐや姫サミットなどのイベントを通し、ぜひ各関連都市で仲良く盛り上げていっていただきたいですね。