こんにちは。静岡県産のおちゃ(@ocha_shizuoka)です。
みなさんはアニメや映画をご覧になりますか?
私はジブリ作品が大好きです。
異界へと迷い込んだ千尋を助けたり、あの世界での生き方を教えたりと作中でキーとなる主要キャラクターの1人であるハクですが、意外と謎に包まれた面も多いキャラクターです。
特徴的なのは服装。
千と千尋の登場人物の多くは似たような顔や服装ですが、ハク、湯婆婆、坊、釜じいなどはそれぞれ異なった服装をしています。
特にハクの服装は和服ではあるものの着物や浴衣などとは異なって普段目にするようなものではなく、見慣れないと感じる方もいるのではないでしょうか?
そこで今回はハクの服はなんというものでどのような意味を持つものなのか、徹底的に検証していきたいと思います!
早速作中でのハクの描かれ方について見ていきましょう!
ちなみに今回使用させていただくイラストは、スタジオジブリ様が無償提供されている画像と自分で描いたものとなります。
まずは上半身から。
美味しそう。
今気づいたけど、後ろスイートピーじゃなくてさやえんどうなんだ。
豆がいっぱいなってる…。
イケメンですね。
さて、一つ目の特徴と考えられるのはおかっぱ頭。
おそらくこれは「尼そぎ」と呼ばれる髪型なのではないかと思います。
尼そぎとは平安時代の子どもや出家した女性がしていた髪型のことです。
一般的には肩につくかどうかくらいの長さで切り揃えられます。
この髪型については清少納言の枕草子の中でも述べられています。
うつくしきもの。
瓜にかきたる稚児の顔。
(中略)
頭は尼そぎなる稚児の、目に髪のおほへるをかきはやらで、うちかたぶきてものなど見たるも、うつくし。
これは「うつくしきもの」という段の一節です。
ここでは清少納言が可愛らしいと感じるものが書かれています。
引用部分最後の一文の内容は
尼そぎした髪型の幼いこどもが、目に前髪がかかっているのをかきあげることもせず首を傾けながら何かを見ている様子も可愛らしい。
といった感じです。
ここから、当時の尼そぎの子どもたちはハク様同様の目の上くらいまでの前髪があったと推測できます。
つまり髪型からわかることは、ハクは子どもであるということです。
また上半身で特徴的なポイントはここ。
①肩に近い部分の袖に切れ目が入っている服であり、
②襟は着物のような合わせではなく立ち上がっている。
全身を見てみると
上半身の服の裾は外に出しているということもわかります。
これらの情報から私が推測したのは水干と狩衣です。
それでは水干と狩衣をそれぞれ見ていきましょう。
こちらのイラストが水干(スイカン)です。
袖はハクの服装と酷似しています。
水干はもともと庶民や位の低い官人の普段着でしたが、しだいに公家や武家も着用するようになります。
全体的な雰囲気は似ているものの、襟元に紐があることと裾を出さずにしまっているという点が若干納得できません。
もう一つ似ている服装がこの狩衣(かりぎぬ)。
こちらの服装は袖に紐がつくという点は異なりますが、裾を出しているという点や襟元の形が非常に似ています。
狩衣はもともと公家の鷹狩りの衣装でしたが、平安時代中頃からは公家が普段から着用するようになります。
その後の鎌倉時代からは武士や公家の礼装となりました。
では二つの装束とハクを比較してみましょう。
いかがでしょうか?
個人的には袖の紐の有無では異なるものの、狩衣が近いのではないかと感じます。
まぁそもそもアニメの世界だからといってしまえばそこまでなのですが、少なくともモデルにはなっているのではないでしょうか。
ということで検証結果。
服装から考察するとハクは公家の少年!
当時の公家は方違いや物忌といった習慣があったり、日常的に神霊的存在を意識するような行動をとっていました。
また公家は天皇の血を引く家系も多くとても高貴な身分だったという点についても、かつて川の神だったハクにぴったりなのではないかと思います。
一方でそんなにも高貴な身分のハクが仕えている湯婆婆の正体も気になります。
しかし湯婆婆の経営手腕が一流であることは確か!
こちらの記事で湯屋の経営について経営学の視点から検討しているので、興味のある方は是非ご覧ください。
トトロの正体については、生物分類学の観点からこちらで考察しています。
ちなみに尼そぎや水干などは古文常識としてテストに出ることもあるので、学生さんたちは覚えておいて損はないと思います。
学校で配られる国語便覧等に各時代の文化や服装について記されていることも多いです。
細かくみていくと生地の色が季節ごとに意味があったり、地位によっては着ることのできない色があったり、伝統的な模様にはそれぞれ願いが込められていたり……などなど、とても奥深く面白いです!
興味のある方は調べてみてください。
それではまた。
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